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ポリシー

2024年12月16日現在

サステナビリティポリシー

 気候変動により気温、雨量、季節、海流、風などの激変がもたらす気象現象は、日本のみならず世界中の生態系や暮らしを、経験したことのない速さで変え始めています。私たちはいまだ経験したことのない脅威にさらされています。加えて、資源不足、廃棄プラスチックをはじめとする素材や廃棄物問題といった世界的な課題は、持続可能な暮らしを「ライフスタイル」の変化なくして続けられない状況にしつつあります。
「旅」はいにしえより、人の心を謙虚にし、癒し、コミュニティを活性化させ、新しい発見を伴う冒険や、歴史を変える新しい気づきを私たちにもたらしてくれました。これから先も、人間の創造力とモチベーションが、この苦境においても、謙虚さと希望を持ち続け、自然環境や社会の持続維持に向けて、経済と持続可能な新しいライフスタイルを生み出せるよう、本投資法人は観光を通して貢献していくつもりでおります。
本投資法人のスポンサーである星野リゾートは長野県軽井沢において1904年に創業し、温泉掘削や水力発電所の設置などを通じて旅館機能を充実させ、多くの文化人が訪れる施設を運営するようになりました。1921年に始まった「芸術自由教育講習会」は当時の文化を牽引する場となって、避暑を楽しみ癒される習慣の始まりでもありました。また、星野温泉に日本野鳥の会の創立者中西悟堂が滞在した際、「今までは野鳥を食べていたが、これからは見て楽しむ時代になる」という当時としては衝撃的な発想を教えられたことを受け、隣接する野鳥の宝庫である国有林に生態系の保護活動を働きかけた結果、「国設 軽井沢野鳥の森」として指定され、現在もその環境は保たれています。
そうした思いは自然豊かな星野温泉跡地に2005年開業したラグジュアリーリゾート「星のや軽井沢」にも受け継がれ、自然への負荷を最小限に抑えるため、同施設のエリア内でエネルギーを生産(EIMY)する活動を行い、水力発電、地中熱利用システム、工夫された省エネ建築、バイオマス利用リサイクルなどを進め、同施設のエネルギー消費量の約70%のエネルギーを生産しています。
また動植物のレンジャーチームである「ピッキオ」が軽井沢の森の植物や生物と、人々の暮らしの境界線を作り、自然資本と生態系サービスを保護するため専門的な知識と技術で、未来にその価値を維持する活動をしています。
宿泊施設において顧客満足度を高く維持することは収益の最大化につながります。また、観光業は「地域とのつながり」が非常に強い業態ですが、星野リゾートの宿泊施設では地域の魅力を顧客に体験してもらうことも観光立国にとって重要なことだと考えています。同時にこれは地域貢献ともなり、環境の保全や社会への貢献という点において、地域の皆さんとの共存共栄を達成しています。本投資法人が掲げるESG戦略「CSV考慮の運用」はまさにこのことをさします。
具体的な目標としては4つの柱を作成しました。
  • 気候変動や大規模災害の低減を目的に保有施設の「環境建築化」を目指し、新築・改築・修繕の際には、エネルギー消費や温室効果ガス(GHG)排出、水消費、廃棄物量の削減等の環境負荷低減の実施・検討します。また、併せて再生可能エネルギーの導入検討も行い、レジリエンスの向上に努めます。
  • 「廃棄プラスチック」にみられる海洋マイクロプラスチックや陸上でのペットボトルなど使用を減らすため、プラスチックを可能な限り使用しないように努めます。こうした活動を通じてお客様にはライフスタイルへの良い影響を与えられる関係を、サプライヤーとは協働できる関係を構築していきたいと考えます。また、全てのオペレーターとはプラスチックに限らず廃棄物管理全般に関する協働やグリーンリース契約の締結を進めます。
  • 「観光と地域」は切ってもきれない間柄ですが、地域の特性を大切にしていきながらともに経済を回していくことを考えていきたいと思います。それには、業務を促進していく役職員の健康の増進のための定期健診をはじめとしたウェルネスも配慮した職場環境も整備していくことが必要です。
  • 個々を尊重する多様性(D)、公平性(E)、包摂性(I)のある働き方を推進します。まず、従業員一人ひとりが個性と才能を発揮できる環境を提供し、ジェンダー、年齢、国籍を超えた協生を目指します。また、事業を推進し目的を達成するにあたり、個人の違いを視野にいれ必要なものが提供される組織づくりに努めていきます。その努力は従業員が観光産業に係る日々の業務を通して地域文化や歴史に触れる際、異なる価値観への理解を深め、地域コミュニティとの協力や社会貢献活動への参加を促すことに繋がります。そうすることによって独創的で豊かなアイディアが創発され、新しい魅力やサービスが生まれるなど持続可能な経営を実現する取組みとして積極的に推進します。
以上の内容を、本投資法人は、資産運用業務を受託する星野リゾート・アセットマネジメントを中心に、投資運用委員会、コンプライアンス委員会、取締役会等の意志決定機構を構築し、業務におけるリスク管理・コンプライアンスを徹底、コーポレート・ガバナンスの継続的な改善を行いつつ、全力で努めて参ります。

ESG委員会

本投資法人は運用会社内にESG委員会を組織化いたしました。サステナビリティの推進体制は委員会を中心にして、社会貢献と利益の両立を達成するCSVを創造し、ステークホルダーの皆様に期待いただけるよう努めてまいります。

星野リゾートグループの環境経営

 星野リゾートグループは、ホテルと地域は一心同体である、すなわち、地域の魅力が高まることはホテルの業績に直結し、反対に、地域の魅力をホテルが発信することで、地域のブランド力を高めることに貢献できるとの考えのもと地域に根付いた活動を行っています。こうした地域に根付いた活動は、持続可能な企業競争力のひとつであり、地域に存在する産地の技術、農水産物、観光資源などが価値の源泉となると、星野リゾートグループは考えています。
 また、環境経営にはエコツーリズム・ゼロエミッション・環境負荷のかからないエネルギーグリッドの開発も必要であると星野リゾートグループは考えています。

星野リゾートグループの環境経営の図星野リゾートグループの環境経営の図

サステナビリティ対応による、地域と不動産の新たな価値の創出

自然への負荷を最小限に抑えるため、エネルギーを施設エリア内で生産する活動

星のや軽井沢を支えるエネルギーシステム「EIMY(=Energy In My Yard)」。豊かな自然環境の上に成り立つリゾートとして、自然への負荷を最小限に抑えるため、「同施設のエリア内でエネルギーを生産できたならば」というシンプルな発想から生まれた、水力発電、温泉排湯の暖房利用、エネルギー保存のため工夫した建築、バイオマス利用リサイクルによるエネルギーシステムです。
EIMYの取組みについてはこちらの動画で紹介しています。
[星野リゾート公式YouTubeチャンネル 自然エネルギー活用の紹介「EIMY (Energy In My Yard)」]

水力発電
水力発電

川は心を和ます風景の一部でありながら、実は発電システムとなっている。

資源リサイクル推進を目的とした多種類分別
資源リサイクル推進を目的とした
多種類分別

正確に分別されているかを従業員が定期的にチェック、資源のリサイクルを推進。

ヒートポンプ
ヒートポンプ

温泉の排湯や地中熱を利用して熱を移動させる技術。

風楼
風楼

客室の屋根に取り付けられた小屋根は「天然のエアコン」としての機能を持つ。

離島のレジリエンス対応海水淡水化装置の活用と地域貢献

星のや竹富島には海水を淡水化する装置に太陽光発電、蓄電及びヒートポンプが一体化した「海水淡水化熱源給湯ヒートポンプユニット」が設置されています。災害時の飲料水供給に備え宿泊者のみならず島民へ水を供給できるよう対応しています。同時に、CO2排出削減にも寄与しています。

太陽光発電
太陽光発電

災害時でも施設内での水と湯、電力を自給可能。

海水淡水化装置
海水淡水化装置

地下から汲み上げた海水を特殊なフィルター(RO)を通して淡水化。

ヒートポンプ
ヒートポンプ

淡水化した水を熱源とする高効率ヒートポンプによって、温室効果ガスを抑制しながら宿泊施設に必要な給湯と同時に冷水を確保可能。

その他の効果
その他の効果

E:客室でのペットボトル入りミネラルォーターの提供を廃止。竹富島の環境保全に貢献。
S:竹富町と、避難者支援・指定避難所等に関する協定書を締結。島民へ安全な水の供給が可能。

竹富島の自然環境保全に取り組む「一般財団法人竹富島地域自然資産財団」と、竹富島の自然環境保全と持続的な島文化保全のため、パートナーシップ協定を締結しています。

3つの協働

  1. 島の海洋漂着ごみ問題の解決に向けたアクティビティ開発
  2. 島全体での伝統作物の復興
  3. 伝統作物の特産化を目指す技術協力

観光の「移動」も視野に—バリューチェーンを通じたSAFへの貢献

観光におけるCO2排出の多くは旅行者の“移動”に由来します。本投資法人は、SAF(※1)などの脱炭素手法を観光バリューチェーンに組み込み、移動と滞在の両面から排出削減に取り組んでいます。
星野リゾートでは2024年2月にはOMO関西空港でSAFプロジェクトが開始され、本投資法人では現在4物件が導入済みです。今後は外部ホテルにも展開し、ネットワークを活かしたエコシステムの形成を進めていきます。

  • SAF(Sustainable Aviation Fuel)とは廃食用油や植物・動物油脂、木質バイオマスなど、化石燃料以外を原料とする「持続可能な航空燃料」のことを指し、従来の原油からつくる燃料と比べてCO2の排出量を大幅に削減することができるとされています。

導入済の物件名

  • OMO7大阪
  • リゾナーレ熱海
  • 界 遠州
  • 界 長門
HEFA手法による製造工程
  • HEFA手法(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids手法)とは、廃食油や動植物油を水素化処理することで再生可能な航空燃料を製造する技術を指します。

エコツーリズムのあり方

星のや軽井沢「ピッキオ(注)

軽井沢の自然を愛した先人たちの思いを継ぎ、生態系を保全し未来に残すために、1992年に誕生した「ピッキオ」が、活動の幅を広げエコツーリズムを展開しています。

  • イタリア語でキツツキを意味し、「森と森に生きる動植物を未来に残していきたい」と強く願っている星野リゾートのグループ会社です。

環境教育、野生生物・保護管理、エコツーリズムサポート、エコツアー環境教育、野生生物・保護管理、エコツーリズムサポート、エコツアー

ツキノワグマの保護管理

「人の安全を守ること」と「野生のクマを絶滅させないこと」を目指して、人とクマが適度な距離を保ちながら共に暮らす方法を模索し、1998年よりクマの行動調査や、日本初の「ベアドッグ(クマ対策犬)」を用いたクマの追い払い、クマに荒らされないゴミ箱の開発等を進めてきました。その結果、1999年頃に年間100件を超えていた公共ゴミ箱の被害は2009年に0件になり、クマの目撃を大幅に減らすことに成功しました。

世界自然遺産 西表島(いりおもてじま)

西表島ホテルでは2021年7月、西表島が世界自然遺産に登録されたことを受け、島の自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みを作るため、日本初の「エコツーリズムリゾート」を目指し、従業員のみならず宿泊者も巻き込み活動しています。来島者のうち石垣島からの日帰り観光客が多く環境負荷やオーバーツーリズムが懸念されることから、西表島ホテルでは宿泊予約を2泊以上の滞在に限定し、滞在型観光を推進しています。本取組みから、1泊当たりの旅行移動距離低減によるGHG排出量の削減やオーバーツーリズムの回避による自然保護に加え、滞在者増加による島内への経済波及効果や宿泊者の満足度向上へと繋がると考え、エコツーリズムサイクルを確立していきます。

エコロジカルなホテル運営

ゼロ・エミッションの達成に向け取り組んでいます。

  • ペットボトルの提供及び販売停止
  • ウォーターサーバーの設置
  • 洗剤レスのスマートランドリーの導入
  • 飲料水のレンタルボトル飲料水のレンタルボトル
  • スマートランドリースマートランドリー

ビーチクリーン

海洋環境の保全に向け、従業員による浜辺の清掃活動を行っています。

  • ビーチクリーン活動の様子ビーチクリーン活動の様子

島の魅力と価値を感じるネイチャーツアー

絶滅危惧種や固有種等の「生物多様性」を守り継ぐ活動を行っています。

  • イリオモテヤマネコ痕跡ツアー
  • 自然環境を学ぶ「世界遺産の学校」の開催
  • 絶滅危惧種イリオモテヤマネコ絶滅危惧種イリオモテヤマネコ
  • 世界遺産の学校世界遺産の学校

イリオモテヤマネコの保護活動

絶滅危惧種・イリオモテヤマネコのロードキル防止のため、道路での視認性を高める草取り活動等を行っています。

  • 「イリオモテヤマネコの学校」の開催
  • 草取り活動の様子草取り活動の様子