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社会への取り組み(S)

旅館・ホテルの未来を創る人々

ミリアム・バロリ氏

第一回
ハッピーサイクルを起こす、ダイバーシティ経営術
  • Miriam Varoli
  • ミリアム・バロリ
ハイアットリージェンシー大阪総支配人

メルボルンやカイロ、シンガポールでホテル業に携わり、ハイアットリージェンシー大阪、京都で総支配人を務めたミリアム・バロリ氏。この春、3年ぶりに大阪に戻ってきたバロリ氏に、そのリーダー術やダイバーシティ経営について伺いました。

もう6年以上日本にいらっしゃるバロリさんから見て、日本でのお仕事はいかがですか?バロリ:日本人は細部まで気を遣い、仕事の質が高く、プロフェッショナルです。また「おもてなし」という日本独自の文化を節々に感じています。

文化の違いで、驚かれたことはありますか?バロリ:オーストラリアでは、会議をすると議論が盛んに起こりますが、日本には「根まわし」という言葉があって、会議も事前や事後のやりとりで進む場合が多く、それはオーストラリアにはない文化です。最初は、直接やりとり出来ないストレスもありましたが、会議の進行が予想できるし、考える時間も持てるという意味で、いまでは根まわしはいい文化だと思っています。ただ総支配人として迅速に決断しなくてはならない場面もあるので、その時は数人のリーダーと話して決断するなど、臨機応変に対応しております。

日本はジェンダーギャップ指数が低い国だと言われていますが、そうした部分で取り組まれていることはありますか。バロリ:表面的にはそこまで男女差別は感じませんが、女性リーダーの数は少ないと思います。当ホテルもスタッフの大半は女性なので、今後はリーダーの30%を女性にすることが目標です。また、産休・育休明けの女性従業員も大切にしたいのですが、男性の上司だと、彼女たちの気持ちを理解できず、気を遣いすぎてしまう場合があります。彼女たちを隅に追いやるのではなく、育児をしながらも希望のキャリアを積める環境を作ることが、結局は女性のゲストたちへのサービス向上につながると思います。今の若い人たちは、直接私のところに来て様々な意見を伝えてくれるので、そうした声を拾い上げていこうと思っております。

スタッフが意見を言いやすいのは、バロリさんが海外の方なのでフランクに話せるのでしょうか。それとも風通しのいい環境を作っていらっしゃるからでしょうか。バロリ:確かに外国人だからということもあるかもしれませんし、私の日本を理解しようとする気持ちが伝わっていることもあると思います。また、他の会社を見ていると、日本人でも外国人でも、女性のリーダーは垣根を感じさせない傾向があるように思います。いまの社会で女性がリーダーになるには男性以上に努力が必要なので、その分、皆とノウハウを共有したいと思うのではないでしょうか。

今後の目標を教えてください。バロリ:私どもは、今年で25周年を迎えました。これから一層この地域のコミュニティと密接になり、地域のリーダーになれるよう取り組んでいく所存です。その際重要なのは、人を大切にすることです。スタッフを大切にすれば、そのスタッフがゲストに対して豊かなサービスを提供できるようになり、それがゲストから地域社会に広がり、最後は私たちに返ってくる。そんな風に皆さんがハッピーになれるサイクルを作っていくことが目標です。つまり、卓越したホテル運営をすること(operating with excellence)は、効率のよさや、ニーズ以上の接客サービスを提供することであり、その結果、投資家・オーナー・ゲスト・そしてスタッフへ良いリターンをもたらすことにつながるからです。

Profile

Miriam Varoli(ミリアム・バロリ)

オーストラリア、シドニー生まれ。1999年8月 グランド ハイアット メルボルン ハウスキーピングマネージャー、2003年8月 グランド ハイアット カイロ エグゼクティブハウスキーパー、2005年11月グランド ハイアット メルボルン フロントオフィスマネージャーを経て宿泊部長、2011年1月 グランドハイアット シンガポール 宿泊部担当副総支配人、2013年5月 ハイアット リージェンシー 大阪総支配人、2016年5月 ハイアット リージェンシー 京都総支配人、2019年3月1日 ハイアット リージェンシー 大阪総支配人(現任)

星野リゾートのダイバーシティの取組星野リゾートは、早くからマネジメント職を立候補制度で決めてきた。もちろん宿泊施設の総支配人も同様であり、年齢、性別などを問わず、広く門戸は開かれている。※2019年3月時点、35施設における総支配人に関する集計
総支配人の平均年齢
39.4
総支配人の女性比率
25%

星のや竹富島「クモーマミ復興プロジェクト」

星のや竹富島「クモーマミ復興プロジェクト」

竹富島では、観光業や流通の発展に伴い、島の生活に密接に繋がっていた畑や島特有の作物の栽培を継承する方が少なくなってきています。星のや竹富島は島特有の作物を継承するために、2017年に施設内に畑を作り、島で親しまれてきた粟や芋などを育てています。その取り組みの一環として、安価な外国産大豆の流入により竹富島での栽培が一時途絶えていた大豆「クモーマミ(小浜大豆)」を復興させるプロジェクトを2019年1月に始動しました。