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2026年4月期(第26期) 決算説明動画 書き起こし

ご挨拶

株式会社星野リゾート・アセットマネジメント
代表取締役社長 秋本 憲二:
みなさんこんにちは。株式会社星野リゾート・アセットマネジメント(以下「本資産運用会社」といいます。)の秋本でございます。

【はじめに:日本の観光マーケットの概況について】
今年の3月、第5次観光立国推進基本計画が閣議決定されました。盛り込まれている全てが計画通りに進むとは限りませんが、それでも内容を見ると全体の方向性が見えてくるものになっています。その中で、重要な3つのポイントがあると考えています。
第一は、観光が戦略産業として明記されたことです。2025年のインバウンド消費額9.5兆円は、輸出産業に換算すると自動車産業に次ぐ規模となりました。今回の計画では2025年の訪日客4,268万人を2030年に6,000万人、消費額で15兆円という目標が掲げられています。これを実現するためには、より地域的に分散した集客構造をつくり、大都市圏だけでなく、地方が集客できるようにしていく必要があり、その必要性も基本計画には盛り込まれています。
第二は、日本人による国内旅行消費額は2025年に26.8兆円と過去最高となり、2030年の目標が22兆円から30兆円へと大幅に増加しました。26.8兆円のままであったとしても国内市場が大きい構造は変わらず、国内市場は日本の観光産業において最も重要な市場といえます。
第三は、観光産業の低い労働生産性が課題であることが明記され、生産性向上への取組みが進むことが予想されることです。その中の一つに、「国内需要の年間平準化」という、星野リゾート代表の星野が長年訴えていたものも盛り込まれています。人口が減少する中で、巨大な国内市場を維持していくには需要が特定の日に集中することで生じる様々な問題を解決することが重要になります。
これら3つのポイントから言えることは、日本の観光産業を今後も成長させ、目標を達成していくためには、国際的にはまだ知名度が低い地方部への需要拡大が重要であり、多くの取組みがインバウンドと国内需要両面で実施されていくことです。星野リゾート・リート投資法人(以下「本投資法人」といいます。)が保有する大半の施設は、地方部に位置しており、地域や国の政策と足並みをそろえて、日本の観光の一層の振興をはかっていきたいと考えております。
出所:観光庁 第5次観光立国推進基本計画、インバウンド消費動向調査及び旅行・観光消費動向調査、日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計並びに関西国際空港発表資料

【CHAPTER 1 決算概要】 ~2026年4月期(第26期)決算サマリー~

当期は、変動賃料の算出期間に大阪・関西万博需要を取り込める期であったことから、期初の分配金予想を、前期から大きく増加する6,500円としていました。これに加えて、「the b 5物件(注)」や、「コンフォートイン23物件(注)」が想定以上に好調に推移した結果、予想を大きく上回る6,832円で着地しました。 「コンフォートイン23物件」は冬の需要が課題でしたが、法人需要を獲得していく戦略が功を奏した結果です。 これにより、コロナ禍前の水準を超える分配金を、前回決算発表時の想定より1期早く実現しました。その他の指標は、記載のとおりです。
(注)2026年6月15日現在で本投資法人が保有する71物件のうち、株式会社イシン・ホテルズ・グループが運営する「the b」ブランドの5物件を「the b 5物件」といい、株式会社グリーンズが運営するバジェット型ホテル「コンフォートイン」ブランドの23物件を「コンフォートイン23物件」といいます。

~1口当たり分配金の実績、予想及びLTVの推移~

第26期は6ページでご説明した通りです。第27期は、前回予想を40円上回る6,700円を見込んでいます。プラス要因の中心は、「コンフォートホテル3物件(注)」の新たな賃貸借契約です。固定賃料に変動賃料を組み合わせる形に切り替えることで、当期では賃料4か月分の寄与にも関わらず、205円の押し上げを見込んでいます。一方、コスト面では、2026年6月と12月の利上げを織り込んだ支払利息の増加で約46円、固定資産の除却・修繕費の増加で約105円の、押し下げ要因を見込んでいます。
続いて第28期は、第27期から150円上回る6,850円を予想しています。もともと賃料のシーズナリティの関係で分配金が減少する見込みであったものを、「ソルヴィータホテル那覇」の売却によって増配を実現した形です。一方で大阪市場では、2025年の万博期間中に取り込んだ宿泊需要の反動と訪日中国人観光客の減少で、足元の大阪は需要・価格ともに弱含んでおり、「OMO7大阪」や「グランドプリンスホテル大阪ベイ」への影響を見込んでいます。
(注)株式会社グリーンズが運営する「コンフォートホテル函館」、「コンフォートホテル苫小牧」及び「コンフォートホテル呉」をいいます。以下同じです。

運営実績及び予想サマリー ~ブランド別運営実績サマリー(直近3年間の推移及び予想)~

星野リゾート運営物件合計のRevPAR(注)は前年比で+2.2%となりました。成長が鈍化して見えますが、これは昨年の夏に「香港発の地震の噂」や自然災害の影響を受けたこと、万博期間の大阪にレジャー需要が集中したことも影響を受けていると分析しています。今後1年のRevPARは保守的に+2.8%の上昇を見込んでいます。
星野リゾート以外運営物件では、万博需要やインバウンド需要を堅調に取り込み、前年比でRevPARは+10.8%の成長となっております。今後1年については万博需要の剥落があるものの、「グランドハイアット福岡」など好調な物件で相殺する見込みです。
なお、時系列の比較可能性のため「OMO7大阪」や「the b浅草」など、2023年5月以降の取得物件は集計に含めていません。
(注)「RevPAR」とは、1日当たり販売可能客室数当たり宿泊売上高合計(Revenue Per Available Room)をいい、一定期間の宿泊売上高合計を同期間の販売可能客室数合計で除した値をいいます。以下同じです。

【CHAPTER 2 運用ハイライト】 ~環境変化を見据えた運用戦略の全体像~

外部環境としてJ-REITでは投資口価格が低迷し、政策金利には追加利上げの観測があります。コスト面ではエネルギー価格や人件費の上昇が収益を圧迫する一方、インバウンドは短期的なボラティリティはあるものの中長期的な成長余地が大きく、またAIの活用による予約体験の高度化や運営効率化の余地も広がっています。
こうした環境のもと、市場からは、持続的な分配金成長の道筋と、その実績を示すことが期待されていると認識しています。
私たちは、星野リゾートの運営力と、資産運用会社としてのアセットマネジメント力を最大限に活用し、保有資産の収益向上と将来の外部成長に向けた取組みを、短期・中長期の両面から進めていきます。
短期では、課題物件への集中対応やインバウンド獲得の強化、賃貸借契約の見直しによる賃料成長、投資回収の短いCAPEX推進などに取組みます。中長期では、星野リゾートの運営力を活かした内部成長と、豊富なパイプラインによる外部成長の両輪で、持続的な分配金成長を目指していきます。
具体的な取組みについては後ほど説明していきます。

~分配金:コロナ前水準への回復と、その先の成長に向けての取組み~

グラフは、1口当たり分配金の成長イメージです。コロナ前を超えた分配金を、Targetである7,000円、さらにその先の8,000円へと引き上げていく道筋を示しています。
第27期及び第28期の増減予想要因は記載の通りです。「ソルヴィータホテル那覇」の譲渡益などの一時要因を除いて考えると、第29期は約6,000円程度の水準となり、ここから成長を積み上げて、第31期にTargetの7,000円達成を目指します。
この7,000円の達成時期は、前回の想定から1年後ろ倒しとしました。要因は大阪市場です。2025年の万博では会期中の需要を取り込み増収となりましたが、万博終了後の反動減に加え、訪日中国人観光客の減少が重なり、大阪では一時的に価格競争が激化しています。
もっとも、これは一過性の要因も大きいと考えています。足元では他国からの需要の取り込みも進捗しています。今後「OMO7大阪」や「グランドプリンスホテル大阪ベイ」のテコ入れを進めるとともに、「界 遠州」や「グランドハイアット福岡」などの好調物件を中心に成長を積み上げ、1年の後ろ倒しはあるものの、7,000円の着実な達成を目指します。

~宿泊特化物件:賃料増加に資する取組み~

取締役投資運用本部長 兼 アクイジション部長 高橋 悦郎:
契約変更による賃料増額についてご説明します。賃料の増額を企図した新たな賃貸借契約を、「コンフォートホテル3物件」で締結いたしました。現行契約は完全固定賃料の設計でしたが、新契約ではGOP(注)(Gross Operating Profit:営業総利益)に連動する設計といたします。賃借人である株式会社グリーンズ様との協議の結果、賃貸借契約の終了を待たずに前倒しでの新契約締結を実現しております。これにより、第27期以降の受領賃料が上昇し、具体的には第27期で約205円、第28期で約130円、巡航では年間約420円の効果を見込んでおります。
また、投資機会をとらえた多人数部屋への改装を継続展開しております。2室を1室に統合する「ニコイチ化」やロフトベッド・ソファベッドの導入により、滞在可能人数を高めており、改装後のRevPARはthe b 赤坂で+29.7%、the b浅草で+49.5%と大幅に向上しております。2期を通じて約1億円のCAPEX投資を実施しており、今後も収益性の向上に資する投資機会を着実にとらえてまいります。
(注)「GOP」とはホテル運営において、各ホテルが設定する営業総利益(Gross Operating Profit)をいいます。

~顧客満足度を中心とした運営の好循環により、業績向上を目指す~

星野リゾートは、CAPEX投資、魅力創造、PR等々のそれぞれの打ち手が循環する独自のサイクルにより、持続的な収益成長の確度を高めております。具体的な事例として「OMO7大阪」をご紹介します。OMOブランドでは、その街ならではのリズムを感じながら心躍るナイトタイムを過ごせるイベント「ローカルリズムナイト」を展開しておりますが、「OMO7大阪」でこの内容を昨年11月に大幅リニューアルいたしました。大阪の活気・賑わいを堪能できる空間創出をコンセプトとした結果、PR露出が増加し、これを目的としたゲストも増加、そのようなゲストの期待に応えるサービス提供を実施することで顧客満足度も向上する、といったサイクルが実現できております。宿泊客の最高評価である「非常に満足」の割合が、47%から62%へと、大幅に増加いたしました。
また、「星のや沖縄の事例」では、PR強化を起点としたサイクルが回っており、稼働率が着実に上昇しております。

~星野リゾートの「魅力創出力」を最大化するCAPEX~

施設コンセプトを体現する一貫したCAPEXによりADR(注)の持続的な上昇を実現しています。その成功事例を横展開することで、ポートフォリオ全体のADR成長の確度を高めてまいります。
事例として、「界 箱根」では「東海道の歴史に浸る」ことをコンセプトとした体験価値を実現するための客室改装を、「界 遠州」では2022年からブレずに一貫して「お茶の魅力」を軸とした改装を継続し、いずれもADRと顧客満足度の向上につなげました。
現在は「界 松本」において、2026年夏のリニューアルオープンに向けた改装が進行中です。ADR成長は勿論、運営効率の最適化も同時に実現できる改装となっておりますので、次回以降の決算説明の場でまた改めてご説明させて頂きたく存じます。
(注)「ADR」とは、平均客室販売単価(Average Daily Rate)をいい、一定期間の宿泊売上高合計を同期間の販売客室数(稼働した延べ客室数)合計で除した値をいいます。以下同じです。

~インバウンド比率~

星野リゾート運営物件では「星のや沖縄」、星野リゾート以外運営物件では「ANAクラウンプラザホテル広島」、「ANAクラウンプラザホテル金沢」のインバウンド比率が増加しております。勿論、マーケット起因の部分もございますが、「星のや沖縄」においては先述(14ページ)のとおり、星野リゾートのマーケティング活動の成果が出ているものだと捉えております。
一方、大阪の物件は、中国人観光客の減少を主因に、星野リゾート運営物件・星野リゾート以外運営物件を問わずインバウンド比率が低下しております。ただ、これは大阪特有の動きにすぎず、インバウンド需要そのものは日本全体で見れば底堅く推移しております。中国一国への依存が和らいでいけば、大阪のインバウンド比率も自然と戻っていくものと考えております。

観光マーケットの概要と、旅前体験「FleBOL(フレボル)」について

*星野リゾート(以下「HR」ということがあります。)
株式会社星野リゾート 代表 星野 佳路:

皆さん、こんにちは、星野リゾートの星野です。
今回は、観光全体の概要と星野リゾートのシステム面の進化を、ご報告させていただきます。
観光マーケットの概要です。2025年のインバウンドの数は4,300万人弱で着地しました。
コロナ禍からの急回復で成長率は高いようにみえますが、実は長い目で見ると成長率は鈍化しています。
これが今後どうなるかということが大事ですが、2026年に関しては、成長が一旦止まると考えています。このグラフは、訪日外客数 2026年1~3月の前年同期比較です。予想通り中国人観光客数は大きく落ちましたが、予想通り他のマーケットでその分をカバーし、若干プラスとなり、およそ前年と同等のインバウンド観光消費額でした。この傾向が2026年中は続くのではないかと考えています。
出所:日本政府観光局(JNTO) 訪日外客統計を基に星野リゾート作成
これは悪い話ではなく、これまでの急成長に起因することによって抱えていた様々な問題を解決し、次の成長ステージに乗せていくことが大事だと考えており、そのために大事なことが2つあると考えています。
1つ目はやはり、空港のキャパシティです。 メジャーな空港はもうキャパギリギリまで来ています。成田空港の拡張も予定されておりますが、拡張にはまだ数年かかりますので、その間は地方空港への直接の集客ということも大事になってくると考えています。
そういった意味では、現在5つの都道府県(東京都・大阪府・京都府・北海道・沖縄県)に観光客の割合の70%が集中しているので、それ以外の県のことを、もっともっと海外の方に知っていただいて、いらしていただく努力が大事です。これは国の政策としても既に謳われています。
星野リゾートの施設の大半が地方にありますので、私たちがもっとこういったところの魅力を、世界に発信していくことが大事ですし、その実現のために、今までも、そして今後も努力してきています。

その取組みの一環として、アジアのメジャーの都市での星野リゾートのプレス発表会を開催しました。今年は私自身がパリ、ロンドンに赴き、ジャーナリストの方々と、様々なお話をさせていただきました。
そのような継続的な努力の成果もあり、今年7月に発表されるアメリカのニュース雑誌「TIME」の「2026年 世界で最も素晴らしい場所」の1つに、私たち星野リゾートの新しい施設「リゾナーレ下関」が掲載予定です。
継続的な努力は少しずつ成果を出し始めており、星野リゾートが運営する「界」ブランドにおいては、実はこれまでインバウンド比率の高かった「界 箱根」に加え、青森県の「界 津軽」や、都道府県別インバウンド比率の下位5県に常時入ってしまう島根県にある「界 玉造」においてもインバウンド比率を徐々に上げています。
星野リゾートが運営する「OMO」ブランドでも同じことがいえます。インバウンドの比率が高い傾向にある方ではある「OMO7大阪」に加えて、都道府県別インバウンド比率の下位5県に入ってしまう高知県の「OMO7高知」が、少しずつインバウンド比率を上げてきています。
同時に、日本国内の観光市場を維持していくことが大事ですが、実はまだまだインバウンド全体の消費額よりも国内の消費額の方が高いという現状があり、この両方のマーケットにおいてシェアを取っていくことが非常に重要です。
出所:観光庁 インバウンド消費動向調査を基に星野リゾート作成


■FleBOL~Flexible Booking Online~(フレボル)■
その意味で、私たち星野リゾートが今、大きく改善に踏み出しているのが「旅前体験」です。
「FleBOL(フレボル)」について前期にもご報告させていただきましたが、施設内のサービスや施設が大切なことは前提として、予約から到着までの「旅前体験」で観光産業はまだまだ改善の余地があります。私たちはこの予約体験を、国内マーケット、そして海外マーケットの両方面でどうしたら快適だと思っていただけるかをとても大事に想い、長い間、構想を練り投資をしてまいりました。
そして、2025年には人数変更・ルームタイプ変更・スケジュール変更が、自由にスマートフォンで、簡単にできるようなサービスを導入しました。
2026年は、いよいよ「食事予約」の変更を導入します。1泊2食付き料金体系が通常の商慣行であるため、連泊すると毎日同じ場所で似たような食事を摂ることが、連泊を増やすことを阻害する要因になっています。そこで、今私たちが導入しようとしている仕組みは、1~3泊目の食事を、“食事なし” も含めて自由に選べるような仕組みとなり、一旦予約していただいた後にも、その変更は可能になります。
「FleBOL(フレボル)」は、星野リゾートの70施設超でどんどん導入しており、現在の搭載状況はホームページに掲載しています。今年の秋にかけては「OMO」施設でどんどん入っていきますので、是非皆さん、一度見ていただきたいと思っています。
どうもありがとうございました。

*株式会社星野リゾート 代表 星野の説明については、星野リゾートの現状や戦略を、星野リゾートの立場から述べているものであり、本投資法人の運用戦略や方針等を説明したものではありません。
*紹介されている施設には本投資法人が保有していない物件も含まれています。
*保有していない施設について、現時点で本投資法人において取得する予定も、決定している事実もありません。

財務戦略~金利上昇局面におけるリスク管理と資金調達戦略の高度化~

経営企画本部長 兼 財務経理本部長 蕪木 貴裕:
私たちは、3つの方針で財務運営を高度化しています。
1つ目は、調達構造の最適化です。長期固定を基本としつつ、足元の財務コスト上昇を踏まえ、3年以下の調達については変動金利も活用しています。あわせて、手元資金を定期預金などで機動的に運用し、資金効率を高めています。
2つ目は、サステナブルファイナンスの活用です。日本銀行の気候変動対応オペ(注)などを通じて金利コストを抑制しており、サステナビリティ・リンク・ローンによる調達も実施しました。
3つ目は、返済時期の分散です。返済の集中を避けることで、急激な財務コスト上昇やリファイナンスのリスクを抑えています。
これらの取組みにより、金利上昇局面においても、安定した財務基盤を維持しています。
(注)日本銀行が対象先として選定した金融機関へ行う「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」をいいます。

財務戦略~金利上昇の影響を緩和しうる、財務基盤強化の取組み~

金利上昇の影響を緩和するための、これまでの取組み実績です。
私たちは、金利上昇懸念が顕在化する以前から、計画的に財務基盤を構築してきました。取組みは、大きく3つの目的に整理しています。
1つ目は、調達コストの低減です。株式会社みずほ銀行様との相対取引の開始や、サステナブルファイナンスの活用、そして投資法人債の発行により、通常のシンジケートローンに比べて有利な条件での調達を進めています。投資法人債の比率は4.9%で、J-REIT平均の約7%に向けて、まだ調達余地があります。
2つ目は、金利上昇影響の低減です。90%を超える高い固定化比率や、返済期限の分散化、平均残存年数の長期化により、借り換え時の金利上昇リスクを抑えています。一方で、このことは財務コストの低い変動金利による調達の余地が、まだ多く残されていると考えています。
3つ目は、資金調達基盤の強化です。新たなレンダーとの取引を開始し、安定したバンクフォーメーションの形成を進めています。

財務ハイライト~強固な財務基盤とファイナスの安定性~

メガバンクと株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」ということがあります。)様で全体の8割を超えるシェアを占めており、安定したレンダーフォーメーションを構築しています。
LTVは、総資産ベースで40.8%です。J-REIT平均の約46%と比べて低い水準にあり、財務の健全性と、物件取得の機動性を両立しています。当面は42~43%以内での運用を考えており、1ポイントあたり約44億円の取得余力があります。
また、今年2月には第5回となる投資法人債を発行しました。調達手段の多様化を進めており、これにより投資法人債の比率は4.9%となっています。

【CHAPTER 3 今後の運用戦略】 運用戦略①~星野リゾート・リート投資法人の目指す姿~

経営企画本部 企画管理部長 弘光 梨奈:
引き続き資産規模3,000億円以上を中長期的な目標として掲げておりますが、規模ありきではなく、原則、P/NAV1倍付近以上での公募増資を基本方針としております。
11ページでもお伝えしたとおり、まずは分配金向上を通じて投資口価格の早期回復を実現し、増資できる環境を構築していきたいと考えております。

運用戦略➁~資産規模の着実な成長~

着実に資産規模を拡大しており、2026年4月30日時点で71物件、2,339億円となっております。

運用戦略③~ポートフォリオ構成(取得価格ベース)~

アクアイグニスの取得により、星野リゾート運営比率は46.8%となっております。
星野リゾートの運営力は、本投資法人の成長を支える重要な源泉の一つと考えておりますので、引き続き50%超を目線として運用していく方針です。

運用戦略④~星野リゾート×日本政策投資銀行(DBJ)共同ファンドによる豊富な取得機会~

ホテル事業は所有・運営・開発の3つの重要な機能によって成り立っています。私たちの場合は、本投資法人が”所有”、星野リゾートが”運営”、そして星野リゾートとDBJ様との共同ファンドが”開発”を担うことで、それぞれの強みを活かした特徴的なストラクチャーを構築しております。

~パイプライン一覧~

取得可能性のある物件を簡易的に試算しますと、合計で約1,300億円のパイプラインを有しており、DBJ共同ファンドを中心に将来の外部成長に向けた十分な取得機会を確保していると考えております。
取得については、足元の環境も踏まえ、慎重に検討してまいります。

星野リゾートの取組み~今後の開発・開業について~

星野リゾートの今後の開業予定をご紹介します。
引き続き「星のや」、「界」、「リゾナーレ」、「OMO」、「BEB」の各ブランドがバランスよく開業を予定しており、運営施設数・客室数ともに堅調に拡大していく予定です。2019年と比較すると、施設数で+38施設、客室数で+5,562室となっています。
直近のトピックとして、パイプラインにも組み入れられている「リゾナーレ下関」が、アメリカのニュース雑誌「TIME」の「世界で最も素晴らしい場所」に選出されました。
2025年12月に開業した「リゾナーレ下関」は、「ふぐ」をモチーフとした空間デザインや、関門海峡を活かした多彩なアクティビティが高く評価されております。
本投資法人のパイプラインには、このような競争力の高い施設が組み入れられており、中長期的な収益成長が期待できる質の高い案件が継続的に積み上がっていることも、本投資法人の強みであると考えております。

【CHAPTER 4 サステナビリティの取組み】 ~気候変動をはじめとする社会構造の変化を捉え、持続可能な価値創造を目指す~

チーフ・サステナビリティ・オフィサー 菊池 昌枝:
本投資法人では、これまでも環境負荷の低減や地域との共生など、サステナビリティに関する取組みを進めてきました。 近年、気候変動や資源制約、地域社会の変化、人材確保といった社会・環境課題は、単なる社会貢献や環境配慮のテーマにとどまらず、施設運営や宿泊体験、さらには中長期的な資産価値にも影響する課題となっています。

~バナキュラー(風土)の知恵に基づく環境建築~

特にホテルや旅館は、建物だけで価値が決まる資産ではありません。エネルギー効率や災害への備え、地域資源との関係、その土地ならではの体験価値などが、施設の競争力や、長期にわたって選ばれ続ける力に関わってきます。
そうした観点から、「星のや軽井沢」や「OMO7大阪」は、その土地が持つ条件、資源、歴史、生態などの「風土」を読み解き、それに合わせて空間や体験のあり方を発想している施設です。本投資法人における、リゾートタイプと都市型タイプを象徴する事例と位置づけています。
このように、社会・環境課題への対応は、今後ますます運用上の重要課題として捉える必要があります。

~環境パフォーマンスと外部評価とサプライチェーンのGHG排出削減の推進~

環境面では、気候変動への対応が重要なテーマです。
日々の運営における脱炭素の取組みは、現在保有する施設の設備運用やエネルギー管理と密接に関わっています。GHG排出量やエネルギー使用量を単なる実績数値として把握・開示するだけでなく、施設の運営改善や投資判断につなげていくことが重要です。
たとえば、内部炭素価格「ICP」を活用することで、将来発生しうる炭素コストを投資判断に反映し、高効率設備や再生可能エネルギー関連投資の経済合理性を、より適切に評価することができます。
これは、環境施策を単なるコストとして見るのではなく、将来のリスク低減や運用の安定性につなげるための仕組みです。
また、サプライチェーンに関する取組みについても、新規物件の取得、運営上の取引先との提携、SAF(持続可能な航空燃料)への対応など、多岐にわたって展開しつつあります。

~地域社会・経済、従業員のウェルビーイングへの取組み~

社会面では、地域との共生が重要です。
旅の価値は、その土地の自然、文化、食、産業、人との関係性によって大きく高まります。地域資源を活かした宿泊体験は、ゲストにとっての体験価値を高めるだけでなく、施設が地域に根ざし、長期にわたって選ばれ続けるための基盤にもなります。
今回は、地域との関係性を活かした資産価値向上の概念図を通じて、人口減少や地域経済・伝統文化の衰退といった社会的リスクに対し、その関係性を活かした独自の運用により、地域内循環へ転換していく考え方を示しました。
また、実例として、「OMO7高知」のリブランドによる地域経済や文化振興への貢献を取り上げています。地域資源を活かした宿泊体験を起点に、関係性を深めることで、変化に強い運営基盤を形成し、中長期的な資産価値の向上につなげていく考え方です。
最後に、ホームページのリニューアル内容および従業員に向けた取組みの詳細については、本投資法人および本資産運用会社のホームページをご覧ください。
このように、サステナビリティは、個別の環境施策や社会貢献活動にとどまるものではなく、施設運営の安定性、宿泊体験の向上、地域との関係性、そして中長期的な資産価値を支えるものとして位置づけることが重要になっています。
本投資法人としても、社会・環境課題を運用上の重要課題として捉え、旅に関わる資産の持続的な価値向上につなげていきたいと考えています。

*本記事には、星野リゾート所有施設、DBJ共同ファンド所有施設等、本記事の公開時点で本投資法人の保有物件に含まれない物件が記載されることがあります。
*主なスポンサーパイプライン一覧に記載の物件を含め、これらの物件について、本記事の公開地点で本投資法人が取得する具体的な予定はなく、また、今後取得できる保証もありません。